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「MEOで患者さんが増えます」という営業の電話やメールは、クリニックにもよく届きます。
ただ、その根拠として出てくるのは「表示回数が伸びた」「順位が上がった」という数字がほとんどです。
院長先生が知りたいのは、Googleマップの数字ではなく、実際に来院する患者さんが増えるのかどうかのはずです。
この問いに答えるには、比べる相手が必要です。
患者数は季節や流行り病でも上下するので、MEOを始めた院の数字だけを見ても、施策の効果なのかどうかは分かりません。
この記事では、Go-Riverが支援した東京都内の内科クリニックのデータを使います。
同じ法人が運営する2つの院のうち、1院だけでMEOを行い、もう1院はMEOを行いませんでした。
支援した14か月(2025年4月〜2026年5月)の2院の患者数を、途中で数字が落ちた時期も含めて公開します。
この記事でお伝えしたいこと
MEOで患者数が増えた実例はあります。
ただし、数字に差が出るまで約4か月かかり、立ち上げの時期は施策をしていない院よりも数字が下がりました。
同じ法人の2院を比べると、MEOを行った院は効果が出始めてからの10か月で前年同月比101.9%、行わなかった院は96.3%でした。
差は10か月で約420件、月あたり約40件のレセプトに当たります(1施設の実績で、MEOと並行して月1万円以内の広告も出しています)。
患者数より先に動くのは、Googleマップ上のルート検索数と電話タップ数です。
効果を確かめるときは、この2つを毎月見ながら、患者数は4か月たってから判断してください。
ご案内
Go-Riverは病院・クリニック向けのMEO支援を行っています。
自院のGoogleマップがいまどの段階にあるかは、初回のヒアリングで一緒に確認できます。
MEOの効果は、最終的には患者数で確かめます。
表示回数や検索順位は途中の数字であって、来院の数ではないからです。
用語解説:MEO
MEOとは、Googleマップで自院の情報が見つかりやすく、選ばれやすくなるように整える取り組みのことです。
「地域名+診療科目」で検索したときに地図と一緒に表示される枠に入ること、そして表示されたあとに「ここに行こう」と思ってもらえることの両方を目指します。
MEOの報告でよく使われる数字は、次の3種類です。
数字 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
検索順位 | 特定のキーワードで何番目に出るか | 実際に見られた回数、来院したかどうか |
表示回数 | Googleマップで何回表示されたか | 表示された人が来院したかどうか |
ルート検索数・電話タップ数 | 院に行こうとした人、連絡しようとした人の数 | 実際に受診したかどうか |
どれも役に立つ数字です。
ただ、どれだけ伸びても「それで患者さんは増えたのか」には答えていません。
そこでGo-Riverは、支援先の患者数(レセプト件数)まで追いかけています。
次の章で紹介するのは、その中でも比べる相手がいる、検証しやすい事例です。
同じ法人が運営する内科クリニック2院のうち、MEOを行った院だけが、効果が出てからの10か月の平均で前年を上回りました。
ここでは、MEOを行った院をA院、行わなかった院をB院と呼びます。
患者数は、MEO以外の理由でも大きく動きます。
インフルエンザの流行、近くの医院の開業や閉院、年ごとの暦の違いなどです。
MEOを始めた院の患者数が増えても、それが施策のおかげなのか、たまたま患者さんが多い年だったのかは、1院だけでは区別できません。
A院とB院は、同じ法人が運営する近隣の院で、同じ時期の流行の影響を受けます。
大きく違うのは、MEOを行ったかどうかです(A院では少額の広告も併用しています)。
2院の前年同月比を並べれば、地域全体の波を差し引いたうえで、施策による差の目安を見ることができます。
2院の患者数の前年同月比を、期間ごとにまとめました。
期間 | A院(MEOあり) | B院(MEOなし) | 差 |
|---|---|---|---|
施策開始前(2025年1〜3月) | 96.3% | 96.2% | +0.1pt |
立ち上げ期(2025年4〜7月) | 92.5% | 95.9% | −3.4pt |
効果発現期(2025年8〜12月) | 99.1% | 93.8% | +5.3pt |
翌年(2026年1〜5月) | 104.9% | 99.0% | +5.9pt |
効果が出てからの10か月(2025年8月〜2026年5月) | 101.9% | 96.3% | +5.6pt |
支援した14か月の通算(2025年4月〜2026年5月) | 99.1% | 96.2% | +2.9pt |
出所: Go-River 自社運用レポート(支援期間 2025年4月〜2026年5月・2026年9月16日時点)。
施策を始める前の3か月は、2院の数字がほぼ同じでした。
施策前の条件がほぼそろっていたことが分かります。
効果が出始めた2025年8月以降は、B院が期間平均で前年を下回る中で、A院だけが前年に近づき、2026年1〜5月の期間平均では前年を上回りました。
立ち上げ期の落ち込みを含めた14か月の通算でも、A院がB院を2.9pt上回っています。
A院がB院と同じ前年比で推移していた場合と比べると、10か月で約420件の差になります。
月あたりにすると約40件で、A院の月間レセプト件数(約760件)のおよそ5%に当たります。
この数字の読み方
これは1施設の実績であり、同じ成果を保証するものではありません。
A院では、MEOと並行して月1万円以内の広告を出していました。
地域や診療科目、競合の状況によって結果は変わります。
A院とB院の数字に差が出るまで、約4か月かかりました。
しかも最初の4か月は、MEOを行ったA院のほうが数字が下がっています。
立ち上げ期(2025年4〜7月)の差は−3.4ptでした。
施策をしていないB院より、A院のほうが前年との比較で低かったということです。
この時期の数字を見て「MEOは効かない」とやめていたら、その後の+5.6ptは得られなかったはずです。
Googleマップの情報を整えても、翌月から患者さんが増えるわけではありません。
立ち上げの4か月は、次のような土台を積み上げる時期に当たります。
診療科目や地域名で見つけてもらえるように、プロフィールの内容を整えます。
投稿を続けて、院の情報が新しいことを示します。
クチコミが少しずつ増え、それに返信していきます。
こうした情報が、Googleマップ上で院を選ぶ材料として十分な量になります。
とくにクチコミは、患者さんが受診し、その後に書いてくれるものなので、どうしても時間がかかります。
A院でも、1年あまりで増えたクチコミは26件でした。
1か月あたりにすると2件ほどで、急に増えるものではありません。
この結果から言えるのは、MEOは「効かせたい時期の4か月前」に始めるものだということです。
新規の患者さんを増やしたい季節や、分院の開業、診療時間の変更など、目標の時期が決まっているなら、そこから4か月さかのぼった時期が着手の目安になります。
逆に、始めてから2〜3か月で患者数が増えていなくても、それだけで失敗とは言えません。
その時期に見るべきなのは患者数ではなく、次の章で紹介するGoogleマップ上の数字です。
患者数に差が出る前から、Googleマップ上の数字は動いていました。
A院の実施前と約1年後を比べると、表示回数は2.7倍、ルート検索数は2.3倍、電話タップ数は1.9倍になっています。
指標 | 実施前(2025年3月) | 約1年後(2026年5月) | 変化 |
|---|---|---|---|
マップ上の表示回数 | 1,852回/月 | 4,979回/月 | 2.7倍 |
ルート検索数 | 61回/月 | 142回/月 | 2.3倍 |
電話タップ数 | 20件/月 | 37件/月 | 1.9倍 |
サイトのクリック数 | 94回/月 | 159回/月 | 1.7倍 |
検索数 | 1,003回/月 | 1,475回/月 | 1.5倍 |
出所: Go-River 自社運用レポート(Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス・2026年9月16日時点)。
用語解説:Googleビジネスプロフィール
Googleビジネスプロフィールとは、Google検索やGoogleマップに表示される院の情報(診療時間・住所・写真・クチコミなど)を管理する無料の仕組みです。
管理画面の「パフォーマンス」で、表示回数やルート検索数、電話タップ数を月ごとに確認できます。
5つの数字のうち、来院にいちばん近いのはルート検索数と電話タップ数です。
ルート検索は「ここに行くにはどう行けばいいか」を調べた人、電話タップは院に電話をかけようとした人の数だからです。
表示回数は大きく伸びやすい数字ですが、表示された人の多くはほかの院も見比べています。
表示回数だけが伸びて、ルート検索や電話タップが伸びていないなら、見つけてもらえても選ばれていない状態です。
その場合は、写真やクチコミ、診療内容の書き方など、選ばれるための情報を見直す必要があります。
A院で行ったのは、特別な裏技ではありません。
次の5つを行い、投稿とレポートは1年以上続けました。
最初に、診療科目と地域名の組み合わせで見つけてもらえるように、アカウントを設計しました。
院が力を入れている診療科目に沿って、Googleビジネスプロフィールへの投稿を続けました。
頻度はおおむね4日に1回、月2〜8回です。
内容は、医療従事者(看護師経験者)が全件を確認してから公開しています。
受付に、クチコミの投稿ページにつながるQRコード付きのPOPを置きました。
謝礼や特典は一切付けていません。
いただいたクチコミには全件返信し、理由なく消えてしまったクチコミは復旧の申請も行いました。
表示回数、ルート検索数、電話タップ数を毎月レポートにまとめて報告しました。
3か月目には、それまでの数字を見て方針を見直しています。
院内と外観に加えて、最寄り駅や入り口付近も撮影しました。
道順や入り口の様子が分かる写真は、初めて来院する患者さんの不安を減らすのにも役立ちます。
ご案内
5つの取り組みは、院の規模や診療科目に合わせて組み替えます。
分院がある法人や、ほかの院と比べて効果を確かめたい場合は、比べ方の設計からご相談いただけます。
医療機関のMEOには、一般のお店にはない決まりがあります。
守らないと、Googleのポリシー違反でクチコミが削除されたり、医療広告ガイドラインに反したりするおそれがあります。
Googleのポリシーでは、クチコミの投稿と引き換えに金銭や割引、無料のサービスなどを提供することを禁止しています。
「クチコミを書いてくれた方に粗品を差し上げます」といった案内も、これに当たります。
また、スタッフに一定数のクチコミを集めるよう求めることも禁止されています(出典: Google マップのユーザー投稿コンテンツに関するポリシー・2026年9月23日確認)。
好意的なクチコミを書いてくれそうな患者さんだけを選んでお願いすることや、否定的なクチコミの投稿を妨げることも、同じポリシーで禁止されています。
お願いするなら、受付のPOPなどで全員に同じようにお願いする形にします。
医療広告ガイドラインのQ&Aでは、医療機関が患者さんに肯定的な体験談の投稿を依頼すると、有償か無償かを問わず、その体験談に受診を誘う意図(誘引性)が生じるとしています。
また、医療機関に有利なクチコミだけを選んで自院のホームページに載せることは、虚偽・誇大な広告に当たるとされています(出典: 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(Q1-18・Q2-9)・2026年9月23日確認)。
お願いするときは「良い評価を」ではなく「率直なご感想を」と伝え、内容や星の数を指定しないようにしてください。
なお、治療の内容や効果に関する患者さんの体験談は、医療機関が自院のホームページなどで紹介すること自体が医療広告ガイドラインで認められていません。
治療の内容や効果に触れたGoogleマップのクチコミを、院のホームページに転載する場合も同じです。
医療広告ガイドラインでは、治療の効果を保証するような表現や、ほかの医院より優れていると示す表現を認めていません。
Googleビジネスプロフィールを名指しした記載はありませんが、院の名前が分かる形で受診を誘う情報を出す以上、投稿やクチコミへの返信でも同じ考え方で書くのが安全です。
A院の投稿は、医療従事者(看護師経験者)が全件を確認してから公開しています。
自院で効果を確かめるときも、A院とB院の比べ方がそのまま使えます。
ポイントは、比べる相手を先に決めておくことです。
分院がある法人なら、MEOを行わない院を比べる相手にできます。
1院だけの場合は、前年同月比を使います。
今月の患者数を先月と比べると季節の影響をそのまま受けるので、前年の同じ月と比べてください。
効果は、次の3段に分けて見ると判断を誤りにくくなります。
1段目は「見つけてもらえたか」で、表示回数と検索数です。
いちばん早く動きますが、来院とは距離があります。
2段目は「行こうとしたか」で、ルート検索数と電話タップ数です。
来院の直前の行動なので、毎月いちばん注意して見る数字です。
3段目は「来院したか」で、患者数(レセプト件数)の前年同月比です。
これが最終の答えですが、始めてから約4か月は判断に使わないでください。
A院では、3か月目にそれまでの数字を見て方針を見直しました。
1段目が動いていなければプロフィールの設計を、1段目は動いているのに2段目が動いていなければ写真やクチコミなど選ばれるための情報を見直します。
A院の結果では、MEOを行った院だけが、効果が出てからの10か月の平均で前年を上回りました。
ただし、A院ではMEOと並行して月1万円以内の広告も出しています。
また、診療の質や待ち時間、受付の対応といった院そのものの評価は、クチコミを通じてGoogleマップにそのまま表れます。
MEOは院の良さを見つけてもらうための取り組みであって、院の評価そのものを変えるものではありません。
A院では、施策を始めてから数字に差が出るまで約4か月かかりました。
最初の4か月は、MEOを行っていない院よりも数字が下がっています。
短期間で患者数が増えるとうたう提案には、どの数字で、何と比べた結果なのかを確認してください。
Googleのポリシーでは、お願いすること自体は禁止されていません。
ただし、謝礼や割引などの見返りを付けること、満足していそうな患者さんだけを選んでお願いすることは禁止されています。
また、医療広告ガイドラインの考え方では「良いクチコミを書いてください」という頼み方も避けるべきです。
A院では、謝礼や特典は付けず、受付のPOPで来院した方に同じようにお願いしました。
A院は月間レセプト件数が約760件の内科クリニックです。
規模が小さいほど、月に数件の新規の患者さんの増減が経営に与える影響は大きくなります。
ただし、効果は地域の競合の数や診療科目によって変わるため、始める前に周りの医院がGoogleマップでどう表示されているかを確認することをおすすめします。
できます。
Googleビジネスプロフィールは無料で使えます。
基本的な設定の手順は、クリニックのMEO対策ガイドにまとめています。
一方で、投稿を4日に1回続けることや、毎月の数字を見て方針を見直すことは、診療と並行すると手が回らなくなりがちです。
続けられる体制があるかどうかで、自院で行うか外部に頼むかを決めるとよいでしょう。
MEOが患者数を増やすかどうかは、比べる相手を持って確かめられます。
同じ法人の2院を比べたA院では、効果が出始めてからの10か月で、前年同月比に5.6ptの差がつきました。
ただし、数字に差が出るまで約4か月かかり、立ち上げの時期は数字が下がりました。
始める前に比べる相手を決め、最初の4か月はルート検索数と電話タップ数を見ながら続けてください。
そのうえで患者数を判断すれば、MEOが自院に効いているかどうかをはっきり確かめられます。
ご案内
Go-Riverは、病院・クリニック向けのMEO支援を行っています。
初期設計でアカウントを整え、そのあとは月1回のレポートで表示回数・ルート検索数・電話タップ数を報告しながら運用します。
費用は、初期設計が10万円、月額の運用が3万円からです(Go-River MEO支援ページ・2026年9月23日確認)。
なお、A院の構成は松プランと写真撮影のオプションです。投稿の回数や内容はプランによって異なります。
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